RnineTの渋滞時はオーバーヒートに注意

RnineTは最近のバイクにしては珍しい空冷エンジン。一昔前だと、空冷エンジンもラインナップが豊富にあり、味のある空冷を選択するといったこともあったが、現在ではアメリカン以外絶滅危惧種。RnineTに乗っていて空冷ならではの困ったことがあったので、今回はその話をしていきたい。




RnineTの空冷エンジン

RnineTは2021年にマイナーチェンジを行い、2021年以降も販売が継続することになっている。2020年まではEURO4という規格に適応しており、EURO5に適応できないのではと言われていたが、さすがのBMWmotorrad。難しい部分なのだろうが、無事EURO5に対応させることに成功した。

RnineTの排気量は1,169ccとかなり大型のエンジン。これだけ大きなエンジンで空冷式というの現在販売されているバイクの中ではアメリカンを抜くとほとんど存在しない。さすがのRnineTも次の規制はクリアできないと思うので、これで本当に最後の型になるのではないかと予想している。そうなると少し特別なエンジンともいえるかもしれない。

また、空冷と言ってきているが、厳密には空油冷エンジン。オイルを回してエンジンを冷やすという構造を持っている。

RnineTエンジンの問題点

このエンジン、出力は109psと空冷ながらにかなりのパワーが出ているし、トルクもモリモリ。水平対向構造の恩恵もあり抜群の安定性。素晴らしいエンジンだと思っているが、問題は熱。夏場の暑い時期に渋滞にはまると一気に温度が高くなる。

私もこれまでに空冷のバイクに乗ってきたため空冷の熱問題は意識していたが、久しぶりに空冷の反応を見て驚いた。RnineTは強制冷却ファンを持っていない。そのため温度が上がっても走らなければエンジンをどうやっても冷やすことはできないのだ。過去に乗っていた空冷バイクはそのままオーバーヒートしてしまい、エンジンが止まってしまうことがあった。RnineTでエンジンが止まったことはまだ起きていないが、問題は音だ。

RnineTは他のBMWmotorradのバイクのように液晶画面で細かくマシンの状態を知ることはできない。唯一あるのが、携帯電話のアンテナ強度を表すようなバーでどれくらいの温度になっているか感覚で知るしかない。私が乗ってきた経験だと、通常運転時は3本、ちょっとストップゴーが続くと4本、渋滞にはまると5本になる。5本になっても普通にしてくれていれば何の問題もないのだが、困ったことにひどい音がする。「ガラガラガラ」と明らかにエンジンが参ってしまっている音を発する。この音が壊れないようにあえて鳴っている音なのか、鳴ってはいけない音なのかが判断できない訳だが、普通の感覚だと間違いなくダメな音だ。

そのため、真夏の炎天下では、長そうな信号の場合はエンジンを停止するようにしている。これによって市街地などで5本の油温になったことはないが、問題は高速道路の渋滞。高速道路の渋滞はジリジリ進むことが多い。そのため風は全然当たらないのに、エンジンは切れないという状態が続く。しかも1時間以上などよくあることだ。この場合は、どうすることもできず、バイク保護のため、すり抜けせざるを得ない状況ともいえる。

もしこのガラガラ音に詳しい方がいるようであれば是非知りたい。また、今度ディーラーに行くときに質問もしてみようと思う。

RnineTエンジンの未来

性能を追求するならRnineTも水冷に進化することで、寿命をさらに伸ばすことが可能だ。実際に水平対向2気筒エンジンの水冷化はRシリーズで達成されており、GSやR、RSなどにもその水冷エンジンは使われている。そのエンジンをそのまま移植すれば良い訳だが、そう簡単にいかないのもバイク業界の難しいところ。「味」だの「空冷」という言葉だの、そういった部分にこだわる人は多く、実際私も「空冷のエンジン」というキーワードに少し心が躍り、もうこんなバイクが発売されないなら長く所持していたいなと思うほど。




最後に

真冬の長期渋滞はまだ経験したことないので、夏と同じような状態になるかはわからないが、もしこれからRnineTを購入することを考えている方は、自分が渋滞にはまる可能性があるかどうかを考えてみても良いかと思う。特に関東近辺の土日の高速道路はどこも渋滞するし、首都高に関しては毎日のように渋滞している。高速道路上でマシンが停止してしまうといくら渋滞中とはいえ、非常に危険な状態ともいえるため、十分注意したい。