RnineT 私のお気に入りの乗り方

これまで様々なバイクを所有したり、試乗させていただいたりして改めて感じるのはそれぞれのバイクの個性。過去の私は基本的に1台のバイクで全てを賄っていましたが、今では実に3台体制。それぞれのバイクの楽しみ方が違い飽きがきません。今回は私のRnineTにおけるお気に入りの乗り方について話していきたいと思います。




直線を楽しむ

まずこのバイクに乗って自分が心がけていることは「直線を楽しむ」ということです。これまでの私の感覚だとどうしてもコーナーを楽しむという形でバイクを走らせてきていましたが、RnineTに関してはとにかく直線を楽しもうと思っています。

そのため無理に峠道に行こうということはせず市街地でもまっすぐな幹線道路でも高速道路でも楽しもうと心がけています。もちろんツーリング先で峠道などがあればそれもまた一興なわけですが、「よし、ギアを落としてかっ飛ばすぞ」ということはせず、のんびり穏やかな気持ちで走ろうとしているわけです。

直線を楽しめる理由

しかし、バイクで直線だけを走っていても楽しめないのではないかと自分自身でも思ってしまうわけですが、RnineTの良いところは心地よさだと思っています。2020年にR1250Rを購入し水平対向2気筒エンジンデビューを果たしたわけですが、このエンジンのバランスの良さはこれまで乗ってきたバイクの中でもトップクラスです。R1250Rで唯一物足りないと思っていたのが鼓動感。Rシリーズは現在全て水冷式エンジンとなってしまい、鼓動感やバイクらしさというものが薄れてしまったような気がします。

その点RnineTは未だ水冷エンジンを採用しており、EURO5になりおとなしくなったと言われていますがR1250Rのエンジンよりも鼓動感を感じます。

また、水平対向エンジンの特徴でもあるバランス感覚の良さ。ヤジロベー的に左右に張り出し、車体下部に設置されたエンジンは直進性に長け、安心して体を預けられます。言い方を変えればデメリットとしてバランスが良いために倒れにくい=リーンさせにくい という特徴も持っています。これをそのままデメリットと受ける人もいると思いますが私の場合はこれも大きなメリットの一つだと考えています。




曲がりにくいバイク

先に言っておくとRnineTは曲がらないバイクではありません。普通によく曲がりますし、サーキットでも走っているのをたくさん見かけました。しかし横にスリムな2気筒エンジンやDUCATIのL型エンジンなどと比較して、どうしても倒し込みが重くなります。パタパタヒラヒラという感じではなく、グーンと曲げていく感じ。

そのため峠道に来ても「さぁ軽やかに走ろう」ということにはならず、バイクの特性のままに穏やかにゆっくり倒し込んでいこうという気持ちになれるわけです。

もし、私がRnineTしか所持していなければその日の気持ちで速く走ったりのんびり走ったりするのかもしれませんが、そこは複数台持ちの強みが発揮されます。そう、峠を軽やかに走るつもりで出かけるのであればM1000RRに乗ればいいわけです。M1000RRはRnineTとは逆に直線を楽しもうということはあまりしません。暴力的な加速も楽しいといえば楽しいのですが、やはり倒して行ってナンボというもの。コーナリング担当はM1000RRなのです。

高いギアを使用する

個人的には水平対向2気筒エンジンは構造上、鼓動感が薄いと感じています。気筒は地面と並行に取り付けられ、ピストンの動きは左右になるということで基本的にあまり振動を起こしません。味付け次第ではもっと鼓動感を出すこともできるかもしれませんが、私はこれをBMWmotorradが提唱するスポーツとカジュアルの融合、言い方を変えればいいとこ取りなのかなと思っています。

そんな2 面持ちの切り替え方はギア選択。きびきび走りたければ高い速度を低いギアで、のんびり走りたければ低い速度を高いギアでという感じで切り替えています。まぁバイクという観点で話せばそれは当たり前とも言えるわけですが、この辺りの切り替わりが非常に大きく、4気筒エンジンではこの切り替わりを感じることはできないと思います。逆にいえばどちらの性格も楽しめるともいえ、1台持ちを考えている人にとっても美味しいバイクといえるかもしれません。

そして私のお気に入りの走りかたは当然後者である、低い速度を高いギアで走ることです。

高い速度を低いギアで走る、要するに回転数を上げて走ると粒が揃っていくようなエンジンフィーリングになり、その逆は粒が出てくるフィーリングになります。粒が出てくるとバイクはドドドドと鼓動し、味のある乗り味に変身していきます。

峠道を走る際も基本は変わらないのですが、登りが特にお気に入り。登りはさらにエンジンに負荷がかかるので、鼓動感がさらに増します。峠はコーナーを攻めるというよりもより強くなった鼓動を楽しむといった乗り方で楽しんでいます。

しかしこの鼓動感を得るためにはしっかりとした低速トルクが必要となり、安易にパワーアップ系のパーツを付けると低トルク化されることも考えられます。

先日AELLAさんのクランクケース内圧コントロールバルブというものを試してみましたが、私の感覚では低速トルクが下がり、低速時の粘り感が薄く感じました。高回転で力を発揮するような代物でも、私にとってRnineTに関しては低速トルクを犠牲にするわけには行きません。マフラー交換に関しても同じです。元々RnineTの純正マフラーのデザインが好みではないので交換したいなとは考えているのですが、低速を犠牲にして高回転のパワーを出そうとするようなセッティングの場合、私の乗りかたに合わない可能性が出てきます。この辺は試すことが難しいので様々な情報を待ちながら検討したいと思っています。




カスタマイズする

M1000RRを所持して思うことは、カスタムするところがない!ということ。ほぼ完成された車体には改造の余地がありません。その点RnineTはカスタムをしてくださいというのが前提にあり、ディーラーから発売されているカスタムパーツはもちろん、社外パーツもあります。BMWmotorradとカスタムの関係で素晴らしいなと感じるのは、社外製パーツを付けることに対して全面的に協力してくれること。

ポルシェなどは社外パーツ基本NGみたいなところがありますし、そういったメーカーはたくさんあると思います。しかし、BMWmotorradは積極的に様々なパーツの展示会をやられていたり、購入を代理してくれたりしています。

それからレース活動などにも明るく、店内にはレース用に改造されたG310Rなどが置いてあり、営業マンと相談次第ではそういった改造を行うことも可能かと思います。

とにかくディーラー含めて改造に明るいのでRnineTのカスタムはとても捗り、自分の色が強く出る車体を作り出すことが可能です。私は基本的にディーラーに面倒を見てもらうことにしているので変に改造して、「うちではもう見ません」といわれることを恐れています。もちろん法的に取り付けることが出来ないパーツに関しては取り扱ってはくれないと思いますが、RnineTを自分色にカスタマイズするのもRnineTの楽しみの一つです。




最後に

ということで今回で私なりのRnineTの楽しみ方でした。人によっては、全く逆の要素をRnineTに求めているかもしれませんが、私は直線を、低めの速度で高いギアで走るというのがお気に入りの楽しみ方です。

ちなみにそれならアメリカンとかもっと違うバイクもあるよ?という声も聞こえてきそうですが、私にとってはあのスタイリングとフィーリングがドンピシャなのです。アメリカンやクルーザー系もゆったりと走ることができて直線だけでも楽しめそうだなとは思っていますが、RnineTの少し前傾にさせられてシャキッとしたライディングフォームもお気に入りです。

RnineTの購入を迷っている方はぜひ試乗していただき、直線をゆっくり高いギアで走らせてみてください。もしかしたら私と同じように気にいるかもしれません。