バイクのクラッチはほとんど湿式クラッチであり、よほどこだわっている人以外はクラッチはどんなものがついているかなど気にすることはないかもしれません。クラッチには湿式の他に乾式というものがあり、乾式クラッチはあまり採用されているバイクは無く、珍しい車体ともいえます。RnineTは実は乾式クラッチで今回は実際触れてみてどうかという話をしていきたいと思います。
乾式クラッチのイメージ
乾式クラッチといえばDUCATIがよく採用していたイメージがあります。もちろん他にも採用されている車種はありますが、私が所持している900SSも乾式クラッチで当時惚れ込んだものです。
乾式クラッチのイメージは、ガシャガシャとうるさい音が鳴り響くイメージでいかにも「メカメカしい」といったいった感じ。このガシャガシャ音は「うるさい」という意味でデメリットと言われますが、多くのバイク乗りに取ってはご褒美のようなもの。ガシャガシャ音を立てさせ「俺のバイク、菅式クラッチだけど何か?」と誇りの一部ともいえます。
また、クラッチ内にオイルが満たされていないことから、クラッチケースのカバーを外すことができ、カスタムポイントとしても愛されていると思います。
RnineTの乾式クラッチ
さて、RnineTの乾式クラッチですが、水平対向2気筒エンジンの場合は少し様子が違います。通常だとギアボックスが側面から確認することができるのですが、水平対向2気筒エンジンは外側にエンジンが張り出しており、ギアボックスは内側に隠れている状態となります。そのためDUCATIのようにケースをカスタマイズするといったことが不可能となります。
そして問題は音です。DUCATIなどはメカノイズとしてガシャガシャ鳴っているわけですが、RnineTは静かなものです。乾式クラッチのメリットとしてダイレクト感などと言われますが、RnineTはサーキットで走るようなバイクとはいえないので、見た目も音も無くなってしまうと乾式クラッチである意味はあるのかと思ってしまうのです。
操作感
一般的に乾式クラッチは操作しにくいと言われております。また、半クラ状態にすると湿式に比べてクラッチの摩耗大きく、交換時期は早くなります。さらに繋がるポイントが掴み辛く、エンストしやすいとも言われています。私もDUCATI 900SSに初めて乗った時は確かにクラッチをミートさせにくいと感じました。
しかし、RnineTのクラッチに関していえばそんな難しい操作感だとは感じません。普通のバイクのように発進することが可能だと思います。これはRnineTのトルクがもたらしているのか、セッティングでそうなっているのかはわかりませんが、意識するレベルではないと思っています。もちろん発進しやすいからといってクラッチが摩耗しにくいというわけではなく、やはり半クラを多用するとクラッチの消耗は大きくなると思いますので注意は必要です。
ですので、RnineTに乗りたいけど乾式クラッチだからどうしようと思っている方は、是非試乗してもらいたいとは思いますが、そこまで気にする必要がないとも思っています。
なぜ乾式クラッチなのか
これは私にはわかりませんので、機会があればディーラーに聞いてみようかと思います。もちろん発売当初からRnineTは乾式クラッチであり、そのエンジンをブラッシュアップして使用しているわけですからマイナーチェンジで急に湿式クラッチになるということはないでしょう。また水平対向2気筒エンジンが構造上の問題で湿式にできないのかといえばそうことはないようで、現行型のR1250GSなどRシリーズで採用されているクラッチは全て湿式多板となります。
独特のメカノイズもあまり聞こえませんし、乾式クラッチにする必要があったのかはよくわかりません。
最後に
私はRnineTのスペック表だけをみた時に、「乾式多板クラッチ」と書かれているのをみて少し嬉しくなりました。DUCATI 900SSのようなガシャガシャした音が聴けるのかとワクワクしたわけですが、結果的には随分大人しい音だなという感想です。
また操作感に関してもそれほど神経質になるような感じではないので、はっきりいってスペック表を見なければ湿式だと思うのではないでしょうか。
もちろん操作感に関しては湿式だろうが乾式だろうがバイクそれぞれに差異はありますので、購入を検討している方は試乗して見ることをおすすめします。