今回は永遠のテーマである立ちゴケ。全く経験ない人は気にした事もないかもしれませんが、立ちごけに悩まされている人はたくさんいると思います。立ちゴケは怪我をしてしまう可能性があるのはもちろん、バイクは損傷し、下手すると走行不可能になるなんてこともある身近な危険。今回は私の視点で立ちゴケはなぜ起きるのかということを離していきたいと思います。
立ちゴケの原因はなんなのか
立ちゴケとは走行状態ではないとき、もしくは徐行状態のときにバイクを倒してしまうこと。立ちゴケに悩まされている人は何が原因かよく考えてしまうと思います。
原因は様々あって、
- バイクと身長が合っていない
- 練度が低く、低速時にふらつく
- 傾斜になっていて気が付かず力が入らなかった
- Uターン時に転倒
などなど考えるかもしれません。基本的にはこれらを解消することはマストです。シートの高さを低くすることや、停車する路面を確認する、Uターンにならないようにするなどそういったリスク回避は日頃から意識をするべきです。しかしこれらはあくまでもただのシチュエーションであり、原因ではないと思っています。
ガックンブレーキ
私が考えている、立ちゴケしてしまう一番の理由はガックンブレーキです。ガックンブレーキと言っていいのかわかりませんが、停車時にぎゅっと握ってしまうブレーキのことですね。ブレーキをぎゅっと握ってしまうと、フロントのサスペンションが深く沈み込み、その反動を受けて体が伸び上がってしまい、足に力が入らないため立ちゴケするというメカニズムです。
体格がよく、バイクに対して余裕のある身体能力を持っている人はそういった場面に陥ってもリカバリすることができるかもしれませんが、ぎりぎりで乗っている人はバイクがそういった動きをすると支えるのは難しくなります。
ではなぜガックンブレーキが起こるのでしょうか。
交差点の視線誘導が問題
当時マルイチが立ちゴケをしないように私もYouTubeで立ちゴケ集というものを見ていました。実は私ダルマッサイは生まれてこの方、立ちゴケというものをしたことがないのです。だからなぜ立ちゴケが起きてしまうのかというのを一時期かなり研究していました。立ちゴケ集を見ているとあることに気がつきました。
立ちゴケが起きているのは交差点が多いです。それも信号のない交差点です。こちら側は「止まれ」表記の交差点。そこでガックンブレーキをしてしまう人が多く、そのまま転倒という流れが多いと感じました。
なぜこのタイミングでガックンブレーキが起きているのでしょうか。それは多くの方が交差点進入時、左側を向き、左側から安全確認をしているのです。
- 足を着かないまま交差点に進入
- 左側を見る→安全
- 右を見る→目の前に車が来ている
- びっくりしてブレーキを強く握る
- バランスを崩して転倒
と、こういった流れが多いなという印象を受けました。車やバイクの運転に慣れている人は右側から安全確認をします。よく子供の頃に
「右見て、左見て、もう一度右見て、渡りましょう」
と習ったと思います。なぜ右側からなのかというと、自分と右側から来る車の距離が近いからです。日本の車は左側通行になりますので当然右からくる車と距離が近くなります。
そしてバイクを止めずに、ヨロヨロと進めながら左右の確認をしてしまうということも一つの悪いポイント。バイクにおいての「止まれ」とは、車速をゼロにし片足を地面につけた状態の事。これを全てのライダーが100%守れているかは怪しいですが、見通しの良い交差点などは足をつかず、止まらずに左右を確認してどちらかに曲がるといった乗り方をしている人もいるかもしれません。すると、右を確認したときに急に視界に入る車にびっくりしてしまい、操作が急なものになってしまうわけですね。
交差点進入時の速度であるため、急ブレーキはABSも当然作動せず、ガックンブレーキになってしまいます。しかもどちらかに曲がろうとしているのでハンドルを切っていたり、車体が若干寝ていたりしてさらに倒れやすくなります。
では右側から安全確認をしていた場合どうでしょうか。もしタイミングよく右側から車が来ていたとしても急に車を認識することはないのでびっくりすることはありません。また左側を確認した際も自分と車の距離が遠く、ぶつかる心配がないのでこれまたびっくりすることもないでしょう。
「待て待て、歩行者や自転車は左側から急にくるかもしれないんだから必ずしも右側を見ることが正解ではないのではないか?」と思う人もいるかもしれません。もちろんその通りであり、左側から急に人が出てきてガックンブレーキをしてしまうことはあるかもしれません。しかし、人間はどちらか一方しか確認することができません。車は右側の方が近く、通行人は左右どちらからもくる可能性があるのであれば、よりリスクの高い右を先に確認するのがセオリーになると思います。これは人間の確認能力の限界です。
ビックリが起きなければ立ちゴケは激減する
上記ではガックンブレーキが起こりやすい事例を書きましたが、もっと大まかに言えば、
「ビックリしなければ立ちゴケの可能性は低くなる」ということです。
上記はあくまでもビックリしやすいシチュエーションということになりますが、ビックリしてアクセルを開けたり、クラッチを切るのは初心者には難しいと思います。他にビックリするシチュエーションを上げるなら、
- 停車場時、路面地形がイメージと違いビックリしてバランスを崩す
- Uターン時、急にバイクが倒れ込んでしまいビックリしてブレーキを握る
- 別の車が予想外の動きをしてブレーキを握る
- エンストしてしまい、ブレーキを握る
- ボーッとしていて前が詰まっているのに気が付かずブレーキを握る
などなど。ある程度バイクの練度が高まってくると、エンストしそうならブレーキではなく、クラッチを握るであったり、Uターン時に深くバイクが寝てきた場合アクセルを開けるという行動を反射反応で実践できると思います。しかし初心者や不慣れな方は何か予測外のことが起きるとブレーキを握ることが多いと思います。反射反応で握るブレーキは100%の力で握るので、当然ガックンブレーキとなり、立ちゴケにつながるわけですね。
ビックリを減らすためには
道路を走るということにおいて、全ての人が正しい動きをするかといえばそんなことはありません。様々な予測を立てながら走り、ビックリを減らしていくことになりますが、特に多いと感じる交差点のビックリに関して少しアドバイスがあります。
- 左右の確認をする前に停車し、しっかりと足を着いてから左右を確認する
- 安全確認が終わるまでハンドルは切らない、車体を寝かせない
- 車の接近が微妙な距離なら次で行く
などです。交差点進入時、これだけ覚えておけば交差点における立ちゴケは減ると思います。そして一番重要なのは、「左右の確認をする前に足をつく」ということ。
私は初めの頃、マルイチには交差点進入時、
- 交差点に深く入り込んで停車しないこと
- まず左右を確認をせず、車速をゼロにすることに集中すること
- しっかりと足をつき安定してから左右の確認を行うこと
と教えました。一つ一つの動作をしっかりとこなし、動作を複合させないということが大切です。この場合しっかりと足をついており、車速もゼロにしてから左右を確認するので、右から車がきてもビックリしようがありませんし、仮にここからビックリする何かが起きても一切の操作はありません。
これからマルイチが立ちゴケをする可能性はありますが、初心者状態から、CB400SBを約8,000キロ走らせてきていて、未だ立ちゴケはしていないといった状況です。(私だって可能性は十分にあります)
また、車の接近が微妙な距離なら次で行くというのも結構重要で、立ちごけ集の中には、右折で止まりたくないから一本橋状態で走行し、ぎりぎりまでバイクを止めないように頑張るけど結局車がまだ来なくてブレーキを握りガックンブレーキになるなんてのもありました。この場合も早い段階から足をつこうと決めて交差点に進入するのが大切です。足をついたことにより、行けたタイミングも行けなくるということもあるかもしれませんが、立ちゴケしてバイクが壊れるリスクを考えると、少し待って次のタイミングで行けばいいだけのことです。
やろうと思っていることを急に変えるのは技術がいります。この場合この車が通り過ぎるまで足を着かないぞと決めていたわけですが急に足を着かざるを得ない状態になり、足を出すという体の操作と、ブレーキを握るという操作が同時に起こり、ガックンブレーキが発生。練度が低い場合、足を出す、ブレーキを握る、にさらに、ふらつくマシンを安定させるという要素まで合体してきます。一つ一つが単体で発生しても対応できるかもしれませんが、3つ同時に起こると立ちゴケするリスクは大きくなります。
最後に
ということで私が考えている立ちゴケが起こる理由でした。ここまでを簡単にまとめると
- ビックリするからブレーキを強く握る
- ブレーキを強く握るとバランスを崩し立ちゴケにつながる
- 動作は複合させず一つ一つを正確に行う
ということになります。立ちゴケをしない物理的なテクニックというものも大切です。ですがそのテクニックは自分の体が正常に動いていて初めて機能するものであり、ビックリした際の動きはめちゃくちゃになります。足がぎりぎりつくといった人は停車時に左側にお尻を動かし、足をつく準備をすると思いますが、ビックリしてガックンブレーキをするとその予備動作が取れなくなり、結果足がつけなくなり立ちゴケになります。
ですので、日頃からビックリしないように様々な予測をたて、動作は複合的にせず、一つ一つ正確に行ってみてください。みなさんの立ちゴケが1つでも減るよう願っています。