私がバイクの免許を取り立ての頃、乗りたいバイクといえば取り回しのしやすい小さいバイク一択だった。
というのも教習所に入校する際、バイクの引き起こしテストがあったのだが、無事に起こせぬまま入校が決まってしまったのである…。テストに使ったのは教習車仕様のCB400SFなのでノーマルのCBよりも多少重いとは思う…が、私には400ccクラスは到底扱いきれないと感じてしまった。
そのイメージは教習を終えてからも変わらず、まだ経験も浅いし、取り回しにも自信がないし、排気量の小さいバイクがいい!ということで乗り出したのが250ccクラスのVTR250だった。
2気筒エンジンでパワーもあるし、なによりトラス構造のフレームが気に入りこのバイクに決めた。身長165cmの私でも両足がベッタリつくくらい足つきが良いところも決め手の一つだった。
しかし安全だろうと選んだ250ccバイクが、初心者には逆に難しいと感じることもあった。
「原付と区別がつかないことがある」ということと、「意識してアクセルを開けないとスピードに乗れない」ということだ。
片側1車線の道路を走っている時に事件は起きた
まず一つ目の「原付と間違われることがある」ことについて。これはダルマッサイとツーリングに出かけた時に起こった事件で感じた。当時のツーリングはダルマッサイ(200DUKE)が前、私(VTR250)はその斜め後ろ、という感じの並びで走っていた。
見通しの良い道路をいつものように走っていると、後ろの車が急に速度を上げて距離を詰めてきた。何事かと思い左側に寄ると、なんとその車はそのまま私とダルマッサイの2台をぶち抜いていったのだ!
いままで2人でツーリングをしていて、こういう道で抜かされることがなかったので、そのときなにが起こったのかよくわからなかった。私たちは道路の流れに乗って走っていたし、中央線はオレンジだし…。無理に抜いていくような状況ではなかったと思う。
なぜあの車は無理に追い越していったのか考えてみたが、原付と間違えたかバイクは問答無用で追い越すものだと思っているかの二通りくらいしか思いつかない。だがそんな人でも大型バイクは追い越していかないと思う。いくのかもしれないが、大型バイクが追い越しされていく映像が全く想像できない。のできっと追い越そうとは思わないと思う…。
サイズの小さいバイクは道路上では舐められる?
仮に原付と同クラスのバイクと間違えていたとしよう。バイクに詳しくない人はナンバーの色の意味を知らなかったり、細かい排気量の違いまではわからないとは思う。間違えた理由は車両がコンパクトだからなのではないかと思う。「あのバイク小さいし、原付くらいのスピードしか出ないだろうから抜かしても大丈夫」という考えで抜かしていったのだろう。だが実際には250ccは高速にも乗れるし、一般道では十分に流れに乗れるパワーがあるバイクなのだ。
なのでこちらとしては後続車に抜かれると思って走っていないので、後続車の動きにとっさに対応できずにヒヤリとしてしまった。
現在は400ccクラスのCB400SBに乗っているが、こんな経験をしたことはない。この事件以来、こんなこともあるんだなぁと頭の片隅にいれて運転するようになった。
排気量の小さいバイクこそアクセルワークを意識しなければならない
そして二つ目の「意識してアクセルを開けないとスピードに乗れない」。これはVTRを手放すまで苦労した。特に車の免許もなく、バイクが公道デビューとなるとこれはもう大変。(私がそうだった)
教習所ではせいぜい時速40kmくらいの世界しか経験していないのに、公道にでた瞬間、そんなスピードで走ってたらみなさまの迷惑になってしまうのだ!しっかりスピードを出すためアクセルを開けるのだが、気が緩んできてアクセルの操作がおろそかになると、みるみるうちにスピードが落ちてきてしまう。
まぁ、一般道ではそんなにスピードを上げる必要がないので250ccでちょうどいいっちゃちょうどいい。のだが、高速道路がめちゃめちゃ大変だった。
制限速度くらいで走ろうと思うと、アクセルはほぼフルスロットルだし、ちょっと手を緩めるとこれまたみるみるうちに減速していってしまう。なので右手は常に臨戦態勢となる。これが長距離ツーリングで2時間3時間と続けると、手首の消耗は半端ない。
さらに追い越しをするときはかなり頑張らなければいけない。排気量の大きいバイクのようにグンっと加速できればいいのだが、250ccだとかなりアクセルを開けないと追い越し車線の流れに乗れない。
初心者だとこのアクセルを開けるという操作が怖くて思いっきりできないことも多い。しかし高速道路でトロトロ走る方が、後続車に追突される危険があったり、あおり運転されてしまったりと危険を伴う可能性があるので、しっかりアクセルを開けて流れにのる、という意識が大切になってくる。
250ccバイクは使い勝手最高
ここまでネガティブな面を書いてきたが、一般道を走るには最高にちょうどいいバイクだと思う。車両が軽く、足つきがいいので、ちょっとふらついても踏ん張ることができる。それにより立ちゴケの心配も大型バイクよりも少ない。
車両がコンパクトなおかげで小回りがきくので、乗り出しも楽になり、気軽にバイクに乗ろうという気になる。大型バイクは乗り出すまでが面倒だとよく聞く。たくさん場数を踏んでバイクに慣れる必要がある初心者には、気軽に乗れるというのは大切なポイントになると思う。
上達への近道はたくさんバイクに乗ることだと思うので、安全に注意しながらいろんなところへツーリングに出かけてみてください!