RnineT 2021年モデル ファーストインプレッション

BMWmotorradではヘリテージとというカテゴリが存在しますが、その中でも人気なRnineT。このRnineTが2021年にマイナーチェンジを行いました。これによって各所がアップデートされ、個人的に欲しいと強く思えたので、購入に至りました。

これまでのRninTには乗ったことがありませんでしたが、私がこの車両に感じたことをまずは慣らし運転中、ファーストインプレッションとして話していきたいと思います。




完成されたデザイン

RnineTで最もポイントになるのはデザインだと思っています。
もちろん水平対向2気筒エンジンという要素も大きいものですが、それも含めたこのデザインこそがRnineTといえるのではないでしょうか。

カフェレーサースタイルに、大きく張り出した水平対向エンジン。これがちょっと普通じゃない2輪だと感じさせる要因です。

RnineTはいくつも種類があり、現在販売されているものは、

  • 無印
  • スクランブラー
  • アーバンGS
  • ピュア

となっておりどれもRnineTでありながら用途に合わせてそれぞれ違います。
購入を考えている人は用途に合わせるもよし、デザインで決めるも良しと選択する判断材料が多いのも魅力ですね。
ちなみに私は無印のRnineTを購入しましたが、一番まとまったデザインであったため迷うことなくこの車体を選びました。

私が購入したカラーはアルミニウムということでオプションカラーになります。
オプションカラーですので少し金額は上がりますが、このアルミで統一されたデザインは全てのラインナップで一番気に入っています。
そしてレトロデザインなのに最新の電子デバイスが搭載されているということでより安心快適にバイクを楽しむことができます。

アルミニウムの特徴

アルミニウムカラーのオプションを選択すると3つの特典が付きます。
(すべてアルミ製です)

  • ミニウインドシールド
  • フロントフェンダー
  • リアバンプカバー

と、この3つが付属します。もちろんタンクはアルミ製になります。
タンクは人の手による溶接といった感じで職人の技が見て取れます。
アルミの仕上げはヘアライン仕上げとなっており、高級感があります。

ちなみにアルミ仕様は過去のRnineTにも存在しました。
私は中古車展示でその車体を見ましたが、マイナーチェンジ前は、ヘアライン仕上げにコーティングが施されていたようです。(ガラスコーティングだったのかも)
2021年式のアルミはコーティングがなく、触り心地は少しザラザラとしており、いつまでも触っていたい質感です。
見た目もマテリアルも満足度の高い逸品です。




2021年式の変更点

マイナーチェンジということでいくつかのポイントがアップデートされました。
詳しくは公式サイトに記載がありますが、大まかに上げると、

  • ヘッドライトLED化
  • 電子スロットル化
  • それに伴いクルーズコントロール搭載
  • それに伴いライディングモード選択可
  • それに伴いトラクションコントロール機能搭載
  • ユーロ5に適応
  • 出力特性の変更
  • ABS強化

などなどです。ここで一番大きいのは電子スロットルの恩恵かと思います。

ライディングモードに関しては、素のRnineTの場合、レイン、ロード、ダイナミックと選択することができます。これで気分次第で特性を変更させたり、雨の日にレインを選択するなどが可能になりました。

またクルーズコントロールはロングツーリングには最適な機能です。
私は高速道路を長い時間乗って目的地へ向かうという乗り方を結構しますので、クルーズコントロールは非常にありがたい機能です。
バイクは車と違い当然手で操作しますので足以上に手首がつかれます。高速道路走行時に右手の力を少しでも抜けるというのは長時間のライディングにおいて非常に助かります。


また個人的に気に入っているのがヘッドライトのLED化です。
昔ながらの電球の方が好きだという方も多いかもしれませんが、個人的には、LEDの方が好みです。もし様々な部分がアップデートされてもヘッドライトが従来型だったとしたら私は購入に至らなかったと思います。それくらい私にとっては重要なパーツでした。

後はユーロ5に対応したということで、車種の寿命が延びました。
これにより社外製のパーツがまた開発されることでしょうからカスタムもしやすくなります。
ユーロ5による不満があるとすれば少しだけ音に迫力がなくなったかなと思いますが、
この辺はマフラー変更などで自分好みに仕立て上げられればと思っています。

やる気にさせない走行性能

バイクは見ているだけでもうっとりしてしまう機械工業品ではありますが、当然乗ってなんぼでもあります。RnineTの走行性能については良い意味でやる気になりません。
低い速度を高いギアでのんびり走るというのが一番しっくりきます。

その要因になっているのが水平対向エンジンの鼓動感と直進性です。
水平対向エンジンに関してはBMWmotorradの代名詞ともいえるエンジンとなるわけですが、現在のR1250R、RS、GSなどは全て水冷エンジンとなってしまいました。
水冷エンジンが悪いとは言いませんが、やはり空冷エンジンに魅力を感じていた人は多いと思います。そんな中、今でも空冷エンジンを搭載しているのがRnineTです。

これまでの集大成ともいえる熟成に熟成を重ねた空冷水平対向エンジンを搭載している
この車輛はパワー感、トルク感もちょうどよくのんびり走るのには最高の1台です。
空冷とはいえ109馬力と決して低くない出力を発揮しその気になれば早くも走れるというのもポイントです。

そして直進性ですがこれもまたいい意味でやる気が削がれます。
水平対向エンジンの最大のメリットは低重心であるための安定感の高さです。
その上、フロントフォークを寝かせ気味に取り付けてあり安定感はさらに増しています。

逆に言えばコーナーに対しては非常にもっさりとした動きをするともいえます。
ひらひらパタパタと寝ることが無いこのバイクは峠道においても、どしっと旋回していくため、どうにもやる気になりません。でもそれがいいのです。この頑張らずにのんびり走るのがこのRnineTの魅力なのです。

しかしこのバイク、曲がらないわけではありません。もさっとした動きはしますがものすごくよく曲がります。
安定させながらよく曲がるという印象で、軽快なバイクに乗ってきた人にとっては不思議な感覚というか、少し気持ち悪い感覚でバンクしていきます。

この不思議な感覚というのは、バイクが起きてこないという部分があるためと私は感じました。
バイクは曲がる際にバンクさせるのは当たり前ですが、コーナーを立ち上がる際、アクセルを開けてると自然とバイクが起きてきます。これは基本的なバイクでは普通な現象なのですが、RnineTは起きてこない感覚があります。バンクした角度を維持し続けるといった感じでしょうか。

そのため、コーナーの立ち上がりでは自分でバイクを起こすアクションが必要になる感覚になります。
もちろんあくまでも感覚なので、実際にはアクセル音とともにバイク自体は起き上がってきていると思うのですが、あまりの安定感にそう感じてしまいます。この辺が色々組み合わさって、きびきび走るというよりはのんびり走る、やる気にさせないバイクといえるのかもしれません。

逆にきびきび走りたかったりエンジンを高回転まで回し刺激的に走行したい人にとっては少々物足りないバイクともいえるかもしれません。
事実私もRnineTばかり乗ると、少々退屈な気持ちが出てきてしまい、バリバリ走りたいという欲求が生まれます。
そういった場合は、M1000RRに乗りストレスを解消します。
別の記事でも書こうと思っていますが、RnineTとM1000RRの2台体制は非常にバランスに優れていると感じています。




少し不満な部分

2021年式RnineTはかなり気に入っていますが、少し不満な点もあります。

まずハンドルです。

これはこれまでのRnineTでも言われておりましたが、幅が広く、少し遠いといわれておりました。その結果ライディングポジションに違和感があり、長時間の運転は疲れるといったものです。
前情報で私も確認した上で乗ってみたわけですが、私も同じように感じました。もう5センチずつ短くなればちょうどよいかなと思います。遠さはそれほど気になりませんでした。

次にステップです。

RnineTは決して足つきの悪いバイクではありませんが、足を自然に下ろす先にステップがあります。ドンピシャな場所にあるため、停車時などには少し前に足を出すか、後ろに出すか、足を開くかと迷います。
長く乗ってきても毎回止まるたびに感じることなのでもう少し後ろに設置してくれていればなと思います。

しかしこれらはパーツを交換することで解消することが可能ですので、それほど問題視しておりません。
RnineTはカスタムを前提にしているという部分もありますので気に入らない部分は交換してしまえばよいのです。
もちろんお金はかかりますがそこはお財布と相談ですね。

どうしても交換できそうになく我慢しなければいけない部分は、スピードメーターの震えです。
水平対向エンジンは振動を伴いますが、この振動をメーターが拾い、常時細かく震えています。まったく気にならないとは言い切れずなんとかならないかとも思いましたが、今のところどうすることもできず、我慢しているといったところです。




最後に

RnineTは走りよりもスタイルに重きを置いたバイクだと私は感じています。
カスタム前提とも言いましたがそういった部分でもスタイル重視であるということがわかります。
BMWmotorrad純正のパーツも多数存在しますが、社外パーツが山ほどあるのも魅力です。
自分の好きなパーツを組み合わせればたいてい自分だけのRnineTが完成させると言うことが最終目標になりそうです。

ただRnineT自体、車両価格は224万円からと高く、カスタムパーツ自体も1品1品が高価なので、あれもこれもしてたら簡単に300万円を突破してしまいそうです。
刺激的に運転したいわけではなく、カスタムを楽しみながら眺めたり、のんびり乗ってみたりとそういった用途でバイクを探しているならおすすめの1台だといえます。
許される限り最大限の予算の中で自分だけのRnineTをめざしてみてください。

RnineT2021年モデル ファーストインプレッション